カルチュア・コンビニエンス・クラブ、Tカードの医薬品履歴問題

http://www.asahi.com/national/update/0717/NGY201207160032.html

医薬品の購入履歴がTカードに流れているって事実(秘密漏示罪の疑い・・・・じゃなくて、漏示罪そのものだな)は余り知られてなかったんだろうなあ。
薬剤師さんとか、お医者さんとか大変だな。罪に問われかねない。


さて、素人解釈ではあるが、その素人ですらこの結論にたどり着けるので、
専門家も同様であろうと思う。
私の解釈は性善説と信義則、「日本国法令準拠」を前提にした、アクロバットである事に留意されたい。
弁護士、学者のツイートを引用している部分があるが、
法令解釈はそちらのほうが短い割にエッセンスが詰まっていて(さすが本職である)素直に読めるかもしれない。
突っ込みは歓迎する。(twitterの@Alice_fst宛へどうぞ)
思いついた事をスクラップブックのようにつないだだけであるので、
文章表現には随時修正もかかる事を前提にして読んでいただきたい。


問題点は、T会員規約で同意を取っているとされる
http://www.ccc.co.jp/member/agreement/index.html#agreement01
4条2-1にある「ポイントプログラム参加企業における利用の履歴」
に医薬品が含まれているかということになるのだが、
医薬品の言葉が一切なくおまけに商品の履歴を取るとも書いておらず規約を読んでも「医薬品の履歴を取っていると理解できる」物ではない。

なぜならば、T会員規約の最後部に日本国法に準拠すとあり、
当然刑法にも準拠することになる。
刑法では秘密漏示罪になるがために原則として医薬品履歴を第三者に出せない。例外は、正当な理由があることが証明できる時である。
もし、例外であるところの「正当な理由」を適用させるなら正当な理由は何かを明示できなければならない。
刑法に準拠しているのだから、特段の医薬品との明示がない限りは
「医薬品履歴を収集しているとは規約の文章上解せない」事になる。
この欠陥のある規約で同意を取ったところで、文章上は解せないのだから、収集の同意を得たとはいえないので、実際に医薬品履歴収集があった時点で違法性を帯び、規約全体が無効となる。(民法132条)


また、消費者の一般的なポイントカードの理解(単なる店舗の顧客サービスと見ている筈)からみても、
説明が不十分であるのは信義則に反している。
(明確な説明でない為Pマークの付与基準でも有るJIS Q 15001:2006に反している。ソフト・ローなんだけど。脱線ではあるが、Pマーク剥奪の要件に該当)






商品履歴をとるのは予測できても、規約上国内法に従うとあり、
刑法で医薬品履歴の漏示禁止が定められている以上、法令順守をしているという前提(性善説)で契約することは十分ありえる。
特に病気を患う人間であれば刑法の漏示禁止そのものを知っているであろうし
単純に消費者が一般常識としても病歴医薬品履歴の漏示をしないだろうという期待を持つことはなんら不自然ではない。
よってT会員規約においては医薬品履歴は入っておらず、商品履歴をとるということすら予見困難で医薬品履歴に関して有効な同意はできず、元々収集ができないという解釈のほうが合理的かつ裁判上で争われる際には採用されるであろう。
なお、民法132条不法条件のほかに民法90条公序良俗に反した場合も法律行為は無効化できる。治療履歴や医薬品の履歴の漏示は公序良俗に反するともいえよう。

因みに、鈴木正朝氏(情報法専門)はtwitterでこう述べている。

なるほど。こっちのほうが素直にCCC規約をキャンセルさせる事ができる。


まことしやかに「規約を読まないやつが悪い、商品履歴取るんだから、購入した薬も含まれるのは自明だ」と吹聴する者もいるようだが、
法令と契約に関する見識が不足しているとしか言いようがない。
だまして借金の白紙の根保証にサインさせるのを正当と認めるようなものである。
正直な所、発言者の立場によっては見識を疑われる恐れもある。


因みに、id:tariki氏がカルチュア・コンビニエンス・クラブが個人情報の保護に関する法律に抵触している件 - たぬきん貧乏日記 〜No Worry, No Hurry. Eat Curry!〜で述べているように、CCCは不十分な個人情報の開示しか出来ない。
何を情報として取得しているかは消費者に対してぼかしつつ、
とる物だけとって溜め込んでいる印象が拭えない。
又、収集した個人情報は退会後も残る事になっており、
情報を提供した消費者が自己で個人情報を管理できないと言う有様である。
(訂正や利用停止を申し出るにも、集められた全てのデータがどういうものか分からないと判断が不能で有る事は自明の理であろう。)
このような業者に個人情報を預ける事は、
将来を考えた際に自己決定権という観点から非常に問題がある。



カルチュア・コンビニエンス・クラブはデータマイニングを正当な手段(正確な説明で確実な合意を得る)で行う業者の邪魔してるよな。
彼らの信用はCCCの為にがた落ちじゃ。ああむかつく。

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「続」カルチュア・コンビニエンス・クラブ、Tカードの医薬品履歴問題
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